第11回 3Ｄゲル線量計研究会プログラム

BNCT中性子場には熱・熱外・高速中性子およびガンマ線が混在している．
3種類の色素ゲル線量計への熱・高速中性子に対する増感剤・減感剤の添加により
線質を弁別評価する方法を検討している．検討結果の一例を報告する．

本研究では, i-ROCKで行われている高速スキャニング照射時の3次元的な線量分布を色素ゲル線量計により可視化し,
その反応性を解析した．解析は, モンテカルロ計算を用いたPHITSなどを用いて行った．

09:58 - 10:12　頭部X線CT検査における骨を模擬した3次元線量分布取得
久保匠（帝京大学大学院）

X線CT装置で頭蓋骨を模擬した頭部の3次元線量分布測定を行なった．
16.5 cmの容器にLCV色素ゲル線量計を封入し，骨ありとなしの線量分布を取得して比較を行なった．
骨は油粘土で模擬し，ゲル線量計を油粘土で覆って照射を行なった．

10:12 - 10:26　 Dihydrorhodamine 6Gを使用した蛍光ゲル線量計の基礎特性
久田桐子（北里大学大学院）

低コストかつ高感度化を目的として蛍光プローブに新規にDihydrorhodamine6Gを使用した
蛍光ゲル線量計(nanoclay-based radiofluorogenic gel:NC-RFG)を調製し，その基礎特性を調査した．

10:26 - 10:40　蛍光シリコーン線量計の開発
前山拓哉（北里大学）

シリコーンをベースとした三次元線量計はディフォーマブルと容器レスを特長とする．
従来LMGを用いた特性評価が進められているが，新規に蛍光プローブをシリコーン線量計に適用した
蛍光シリコーン線量計の開発を試みた．

10:40 - 10:54　温度面を考慮したLCV色素ゲル線量計の検討
高桑健太（金沢大学大学院）

室温において融解が見られず，空間保持性の高いLCV色素ゲル線量計を作製するため，
ゲル化剤としてPluronic F-127を用いて組成を検討する．

11:05 - 11:19　 PVA-I系ゲル線量計におけるフルクトースの効果
林慎一郎（広島国際大学）

PVA-I系（PVA-I, PVA-GTA-I）ゲル線量計において，フルクトース濃度を上げることにより
自動酸化（BGの増加）が抑制され，初期化速度が改善した．

11:19 - 11:33　 PVA-Iゲル線量計の電子線PDD計測におけるPDD形状に影響する因子の検討
栗原凌佑（広島平和クリニック）

PVA-Iゲル線量計の電子線PDD計測におけるPDD形状に影響を及ぼす因子の検討をしたので報告する．

11:33 - 11:47　反復利用型PVA-Iゲル線量計による3次元線量評価の有用性
藤野圭介（広島平和クリニック）

アニーリング処理により再利用可能なPVA-Iゲル線量計について，
光学CT (Vista 15, Modus Medical Devices)を用いた読取りおよび解析を行い，
3次元線量分布の計測精度および再利用性を評価した．

11:47 - 12:01　 PVA-I 3Dゲル線量計の基礎特性評価
栗林恭平（帝京大学）

PVA-I 3Dゲル線量計のアニーリング後の再現性評価を行った．
直径 8 cmの容器にPVA-Iゲル線量計を封入して照射し，光学CT装置を用いて3次元データ収集を行った．
再現性の評価はガンマ解析で行った．

13:05 - 13:19　 PVA-KIゲル線量計へのγ線照射よる光吸収 In-situ 測定
砂川武義（福井工業大学）

近年，放射線がん治療において容易に放射線を可視化する手法が求められている．
本研究では，Co-60 γ線照射と同時に光吸収測定する in situ 測定システムを構築し，
PVA-KI ゲルへのγ線照射効果を明らかにすることを試みた．

13:19 - 13:33　 PVA-Iゲル線量計を用いたDaRT線源の拡散推定と線量分布測定
飯島康太郎（国立がん研究センター中央病院）

α線小線源治療であるDaRTで使用する線源は一般的な小線源治療線源とは異なり，
Ra-224の壊変系列に則った放射線の拡散を示す．
これは流体力学や拡散反応に基づいた線量分布の拡散であるため，一般的な放射線計測器で計測することは困難である．
本研究ではDaRT線源の線量分布と拡散をゲル線量計で取得できるか試みた．

13:33 - 13:47　 PVA-Iゲル線量計のBNCT応用におけるLET依存性に関する基礎検討
竹森望弘（国立がん研究センター中央病院）

PVA-Iゲル線量計はホウ素の混合が容易であり，BNCTの線量分布測定に有用であると考えられる．
一方で中性子とホウ素の反応で発生するα線は高LET放射線であり，PVA-Iゲル線量計に対するLETの影響は明らかにされていない．
本研究ではPHITSを用いてホウ素入りPVA-Iゲル線量計に対するLETの影響を検討したので報告する．

13:47 - 14:01　 PVA-Iゲル線量計のRGB特性に関する基礎検討
榛澤拓馬（国立がん研究センター中央病院）

我々は平板型PVA-Iゲル線量計とフラットベッドスキャナを用いた線量分布検証において
R/B成分を使用することの有用性について過去に報告した．
このことからRGB特性を詳細に調べることはPVA-Iゲル線量計を用いた線量測定に有益であると考えている．
本発表ではRGB成分と各成分の比の線量直線性について調べたので報告する.

14:01 - 14:15　 In-air readout型光学CTにおける屈折率測定法の確立
和田拓也（広島大学病院）

光学CT装置上にて被写体を撮影し，光路シミュレーションと組み合わせることで，
被写体の屈折率を算出する方法について報告する.

14:30 - 14:44　室温保管可能なポリマーゲル線量計
川村拓（群馬県立県民健康科学大学）

本研究では室温保管可能なゲル線量計作製を目的として，グルコースおよびグルコースオキシダーゼ(GOX)
を脱酸素剤として利用したポリマーゲル線量計の線量応答性による評価について報告する．

14:44 - 14:58　 iNIPAMゲルの低エネルギーX線線量応答
吉井裕（量子科学技術研究開発機構）

NIPAMゲルにMgCl₂を添加したiNIPAMゲルが高エネルギーX線に対して
増感効果を示すことはすでに知られているが，低エネルギーX線に対して調査された例はない．
そこで，iNIPAMゲルを実行エネルギー30 keVの低エネルギーX線で照射し，線量応答とMgCl₂による増感効果を確認した．

モンテカルロ計算とCT値の物理密度変換を用いる治療計画線量計算について，
iPAGATにリン酸水素カルシウムを混ぜた骨等価ポリマーゲル線量計を用いて精度検証を行う.

MAGATゲル線量計と我々のグループが開発したプロトタイプの光CT装置を用いて，
80 MeV 陽子線線量分布測定に関する特性評価を試みた．

LET依存性があり線量に対して非線形応答であるフィルムを複数の線量で照射することで
重粒子線のLETと線量を同時に求める手法を紹介し，ゲル線量計による3次元LET測定の展望について発表する．

3次元ポリマーゲル線量計は酸化すると反応がしなくなる等，測定の障害となる．
3次元ポリマーゲル線量計の酸化防止対策した組織内照射用ファントムを開発したので報告する．

定位放射線照射(SRS)用に感度を調整した自作のiNIPAMポリマーゲル線量計と
水ベースのSRSゲルファントム(特許取得済み)を用いて多発転移性脳腫瘍に対するVMATの
３次元線量計測の精度を評価した．

円筒型半導体アレイArcCHECK/3DVHシステム (Sun Nuclear) では，
実測結果からノンコプラナーVMATの患者体内3次元線量を予測することができる．
本研究ではiPAGATポリマーゲル線量計を用いて，その3次元線量予測精度を検証した．

サイバーナイフ装置を用いた定位放射線治療法の治療計画検証に関して、
ポリマーゲル線量計を利用することの実現可能性と課題点を検証し報告する．

ポリマーゲル線量計を利用した画像誘導高線量率小線源治療のEnd to end試験の
多施設試験結果と第三者郵送調査サービスの現状について報告する．

第11回 3Ｄゲル線量計研究会

プログラム（最終版 2022/11/29）